2008年12月3日水曜日

「証言・臨死体験」

necoの読書会 (2008年12月3日)
「証言・臨死体験」
       著者 立花隆 文春文庫

ナビゲーター:小沼英二

人類の永遠のテーマである“死後の世界はあるのか”、“死ぬ瞬間はどうなるのか”を解く鍵として、死にかけた体験者が経験したことは大変貴重な出来事であり、人間の死の恐怖を緩和または解明することに繋がるものである。

○ 23人の証言内容で一定の共通する部分について
・夢とは異なる実体験として感じること(記憶として鮮明に残っていること)
・長いトンネルを通ること
・川が出現すること(三途の川:川幅は異なる)
・死亡した親類縁者が出てくること(会ったことがない人も出てくる)
・美しいお花畑があること
・今まで経験したことがないほど気持がよいこと
・体外離脱が一部の人にあること

→現代の科学では、脳内が低酸素・低血流・低血糖になると人間の脳内に天然科学物質が排出され、幻覚という防御反応により神経を守ることが実証されている。
⇒人間は最終的には生まれた状態に戻る(年をとると子供に戻る。)ということが事実ならば、次の解釈ができる。
※ トンネル=産道、川=羊水、お花畑・気持ちが良い=子宮

○ 臨死体験は世界に共通する出来事である。
海外では、臨死体験協会も発足しており、事例統計や科学的アプローチが行われ、臨死体験に関する国際会議(1990年)なども開かれている。また、「臨死研究ジャーナル」も発刊され、数千の事例が現在、保管されている。

◇ 感想 
・仏陀、キリスト、マホメット等の宗教者、仏教でいう悟りを得た者は、臨死体験をした人ではないか。
→宗教は死後の世界(霊の存在)があることを説き、現実の苦しみを死後の世界で救う(お花畑に行くこと)ことを共通に示している。
・人間は死ぬ間際に、怪我や病気で痛い・苦しい思いをしていても最後にはそれらを忘れていい気持で死ねるように脳のプログラムがセットされているのではないか。
→サバンナでヒョウやライオンに捕えられたガゼル等の動物が死ぬ間際にじたばたしていない状況をみていると、人間以外の動物でも同様なプログラムがあるのではないかと思う。
・証言の木内鶴彦氏の場合にある子供の時に未来の自分からの声を聞いたとか、19年後に見る情景を事前に見たというオカルト的な現象をどう解釈するのか。
→時空を超える4次元の世界は存在するのか。
・お花畑の花は背が高くなく、いろいろな色の花であることが共通であるが、人間に遺伝されてきたお花畑は何か。
→現代の公園・植物園等がない時代では色とりどりの花が咲き乱れる場所  
は限られ、高山植物ではないか。
・著者も言っているが、沢山の臨死体験を知ることがよい死に方の参考になると思う。


以上

「フィンランド 豊かさのメソッド」

 necoの読書会 (2008年11月5日)
 「フィンランド 豊かさのメソッド」
                著者 堀内都喜子  集英社新書

ナビゲーター:市川 勤

<フィンランドとはどんな国?>
・ スウェーデンとロシアにはさまれた、北欧の国
・ 人口 5百万人、面積 日本-九州(国土の70%は森林、10%は湖)
・ 主要産業 ①森林業 ②金属・エンジニアリング ③情報・通信技術(ICT)
<フィンランドがなぜ注目されるのか>
・ 労働時間は短く、労働生産性が高い。
・ 高い国際競争力(2001~2004年1位、2007年6位)、ノキアなどの有力企業が存在。
・ 学習到達度調査(PISA)で世界一。(年間学習時間は600時間台で日本より少ない)
・ 高福祉、高負担(食品で17%、他は22%の消費税、所得税20~30%)
<フィンランドのバブル崩壊からの復活>
・ 1990年代はじめ 経済危機(不動産価格暴落、銀行危機、失業率20%、住宅ローン14%)
・ 数年で復活した原動力:銀行の改革・再生、IT産業振興、人材への投資(教育制度改革)
・ 予算の重点配分:産学官連携の研究、重点投資と節約

<学力1位のフィンランド方式>
・ 少人数のクラス編成、ボランティアによる教室サポート
・ 教師という職業の社会的地位が高い(質の高い教師)
・ 特別授業でおちこぼれを出さないようにしている。(平均値が高い)
・ 授業料ゼロと学生への生活援助
<税金で支えられた手厚い社会>
・ 納得の教育、医療、福祉サービスや子育て支援(養育手当)
・ 夫婦共働きが普通、年齢より実力主義
<フィンランド文化>
・ スポーツ好き(時間の余裕、施設の充実、スポーツクラブ)
・ 家でも何でも自分で作る(お金と時間のトレードオフ)
・ 森の豊かさ(国の保護と全ての森に、いつでも自由に入る権利の保障)

<日本はフィンランドから何を学ぶべきか!>
・ 人への投資 → 教育(小中高生の読解力・文章力の強化プロジェクト)
学生優遇、子どもの養育手当、大学の授業料は無料
・ 優先順位の見直し → 労働時間は短く、機会は均等に但し、選別は厳格に
便利さより休暇(不自由を楽しむ)
森林を守る厳しい法律と森に自由に出入りする権利の保障
・ 社会保障制度の充実 → 高負担だが、老後のお金を貯めなくても済む社会
・ 税金使途はガラス張り → 高負担だが目に見える形で生活に還元