平成26年12月10日(水)
by Eiji.K◇ テキヤ社会は伝承社会であり、書物として明文化されていないことから、
作者はフィールドワークとしてテキヤ集団に飛び込み、長期間調査した成
果としてテキヤ(露天商)の歴史や地域性、特殊性等について明らかにし
たことは評価できる。
◇ 特に女性がテキヤ社会の構成員として認められない男社会中心の異文化の
世界に対し、女性として研究対象にしたことは面白い。
◇ あとがきにあるが、学術書としてまとめたものを分かりやすく、読みやす
くするため、新書形式にしたとあるが、全体としては研究論文形式であり、
読みにくさは残っている。
◇ 表題にあるテキヤの実際の構成員の生態(どのような場所に住んでいるの
か、商いの勤労日数は月どのくらいなのか、一祭でどのくらいの稼ぎがあ
るのか、家業として何年ぐらいの勤続年数なのか、通常の家族構成はどう
なっているのか)など分かりにくい内容ではあると思うが、知りたい内容
が書かれてなく標題だおれになっている。
◇ 項目立てにも同じようなことが言える。
「露店は社会の病気か」とある内容について、社会病理研究は、それを「ま
ともじゃないもの」として取り扱うことから始まった。と述べているだけ
で露店は社会の病気なのかどうかの作者の見解が出ていなく、突っ込んだ
内容となっていない。
◇ 第5章 露店商いをめぐる世相解説で親分子分関係、なわばり、口頭伝承
等この本の最も興味のあるところが書かれているが、表面的な感じがする。
◇ テキヤを身近に感じるのは個人的には川越祭である。毎年見に行っている
が、山車のひっかき合わせとお囃子が見所だが、何百も出ている夜店で食
事をする楽しみは、毎年通う理由の大きなものとなっている。
以上