2018年4月4日水曜日

「孤独のすすめ 」 五木寛之

2018/4/4
By Eiji.K

◇ 現在30万部超のベストセラーとなっている本である。

◇ 平易な文章で段落も短く、読みやすい。各フレーズに言わんとすることが様々なコンパクトとして出てくるが、結局、何を伝えたいのかが分かりにくい印象がある。

◇ そこで、当方が気になったフレーズを各章単位に列挙してみた。

はじめに 

〇 年を重ねるごとに孤独に強くなり、孤独のすばらしさを知る。孤独を恐れず、孤独を楽しむのは、人生後半のすごく充実した生き方のひとつだと思うのです。
  ※ 孤独を楽しむ生き方というのは、当方には理解しにくい。
〇 人生後半の過ごし方をメディアは、①ボランティア等他人と積極的なコミュニケーションをとる。②レクレーションを取り入れる。③運動する。④好奇心を持つ。といっているが、それができない人には残酷なことである。
→思い出を咀嚼したほうがよほどよい。つきせぬ喜びに満ちた生き生きとした時間である。
※ メディアの言っていることは理解でき、思い出を咀嚼するほうがよほどよいとは思わない。

第1章「老い」とは何ですか

〇 現代は、「低成長・高成塾」の時代である。
〇 何のために生きるのか。→「この世界がどう変わっていくのか見ていたい。」
  ※ 長寿を目指す理由として合点できる。
〇 今後の日本で起こる事は、「大量自然死の時代」になる。
  →必要とされるのは「死の哲学」
〇 「人生百年時代」に必要なこと。→「老人になっても他人に頼らずに生きる。」
   ・経済的な基盤を自力で築く
   ・健康
   ・精神の自立→死生観の確立、宗教の力
  ※ 宗教の力がどういうものか理解できない。
〇 高齢者世代は特権階級となっているような気がする。
  →若い世代等に高齢者が受け入れられるために
   ・「自立すること」…収入のある人は年金の返上などで社会に還元する。
   ・「選挙権の委譲」…政治を若い世代に全面的に任せる。
  ※ 年金の返上は現実的ではない。無理である。一定年齢以上の選挙権の委譲は賛成。
〇 将来の現実が酷く、道が険しかろうと、また、つまらなかろうとそうした運命と闘って生きていくのではなく、大きな運命を受容することは決して敗北ではない。
  →迷っている状態そのものが、生きていること。
〇 自然から切り離されてしまった現在は、人から「浮いてしまう」とか嫌われるといったことを過剰に恐れて暮らしている。
  →鳥や樹木や多くの自然と共生してきた日本・東洋は、昔から、たとえ人間社会から疎外されても今ほどの孤独感はなかったのではないか。
  ※ 日本人の自然観は歴史的に優れており、過去を咀嚼するよりは、自然とコミットすべき方法がたくさんあり、その点を強調してもよいのではと思う。
  

第2章 「下山」の醍醐味

〇 肉体の衰えを直視し、受け入れることが必要。
〇 50歳から75歳の「林住期」が人生の黄金期である。
  ※ 現在黄金期にいるという感じはある。

第3章 老人と回復力

〇 世の中に漂う「嫌老感」の原因は人口問題。
  ・高度成長期…10%以下の高齢化率
  ・現在…25% 将来は40%になる。
〇 高齢者数の増大、弱者ではない元気な老人が社会保障制度の恩恵をフルに享受する。
〇 高齢者世帯がお金を貯めこみ使わないから景気が良くならない。
  年金者が海外旅行や高級車を買えるのはおかしい。
→高齢者制度を支えているのは勤労者世代…結婚すら経済的にできにくくなっている。
※ 現在、嫌老感を感じないが、将来には出てくることは考えられるが、現行の社会保障制度は国の政策であり、批判は政治に向けられるのではないか。

第4章 「世代」から「階級」へ

〇 高齢者と下の世代は、世代間の対立から一種の「階級闘争」に発展するのでは。
〇 我が国の歴史上初めての「老人階級」が立ち現れた。
〇 対応策
 ・年金などで生活基盤を支えながらボランティアなど社会に役立つ仕事に励む。
 ・同じ老人階級の中で富むものと貧しい者間でパイを分け合う仕組みを作る。
  ※ 仕組みとして考えるのなら、老人が安心して過ごせ、貯金しなくてもよい社会制度ができれば若い世代も理解するのではないか。
〇 世の中の不安・不満の感情が憎悪となり「運動」として発展する可能性がある。(嫌老感)
  ※ 世の中の不安・不満は「世界の富の80%を1%の富裕層が独占している」という格差の拡大について向けられるのではないか。
〇 多神教的な思想こそ、日本が今後世界に寄与できる思想である。

第5章 なぜ不安になるのか

〇 現代人が漠然と不安を感じるのは、「今の日本には、確かな希望が見いだせない」という現実に尽きる。
〇 現実の不安を直視せず、「自分で考えたところで、仕方のないことだ」と諦めている状態
  →「心配停止」状態にある。

第6章 まず「気づく」こと

〇 「嫌老感」という社会的なサインに気づくことが必要。
〇 「日本の産業意識の転換」が必要で日本の産業・文化・国のあり方そのものを老人中心に考えてみる。また、高齢者も国力アップの推進力となってもらうことで日本経済を再生させる。
〇 完璧な補聴器、画期的な老眼矯正、入れ歯製作などの技術や文化を世界市場で売り出す新たな高齢者産業の創設
  ※ 上記製品化ができないのは、若い世代だけが研究している結果で老人の指導があればできるといっているが、疑問。
〇 嫌老社会から賢老社会へ
 ・「よりよい生き方」の最たるものは「社会貢献」のはず。働くことに生きがいを感じられるなら年齢制限なしにそうすべき。
 ・できるだけ社会保障の世話にならない覚悟で生きていく。
 ・百歳過ぎたら選挙権は下の世代に譲り、政は彼らに任せる。
〇 以上の自立した老人が生き生きと暮らす世の中を「賢老社会」という。
  老人として「敬われる」前に一個の自立した人間として「評価」される存在になりたい。
  ※ 大賛成