2012年2月1日水曜日

「写真で読む昭和史 占領下の日本」 水島吉隆


写真で読む昭和史「占領下の日本」(水島吉隆)
平成2421()
by Eiji.K

◇ 今まで断片的であった歴史史実がこの本では、写真を媒体に時系列・項目別に整理されており、わかりやすく、再確認することができた。

◇ 掲載されている内容が網羅的であるが、個々に見ると貴重な歴史事実がたくさんあり、ドキュメンタリーや小説の題材になれるものが多い。
たとえば、ページ17の降伏文書の署名が1行ずれていたことに対し、日本の該当官僚が訂正を求め、修正がなされた事実があり、歴史の機微や面白さが感じられる。

◇ 個別史実として感じたこと。
 ○ 特殊慰安婦施設の創設(1945818日)
 日本の中世からの歴史では、特に地方の田舎において、優秀な血筋を確保するため、その地を訪れた旅人の接待を夜伽として歓待する風習があり、日本人のもてなしの変形として認められてきた経緯がある。同一意識下にあったのかは不明であるが。

○ 脱脂粉乳の思いで
戦後の学校給食で不味かった思い出の味は脱脂粉乳である。食事の洋風化を子供たちに慣れさせ、アメリカの農産物の輸入先として市場開拓された食糧戦略の犠牲にあったのではないかと思う。

○ ページ188 支配者に同調する日本人の民族性
日本人は常に支配者を求めていたとの歴史的事実は、存在していたと思われる。武家時代の殿様・藩主、明治以降の天皇は絶対君主であり、カリスマであった。それがマッカーサーにとってかわったとの指摘はうなずける。
 では、現代ではどうかと考えると、現世での最高権力者は内閣総理大臣であると思うが、最近のように頻繁に変わるようではカリスマにはなりにくい。大阪での橋下徹市長の人気はそのような表れであるのか。
 現代人の救世主を求める傾向はいまでも面々として継続しているのではないか。                        以上