2019/2/6
By Eiji.K◇ 介護や若者の就職問題など現代の現実的な社会状況を題材にしているという意味では評価できるが、短編に近い分量によるためか、結局、作者は何を言いたいのかがよくわからず、読後感が軽い感じがする。
◇ この小説のその後(健斗の就職してからの生活、祖父と母の介護状況、亜美との関係等)がどうなっているかが書かれていると小説としての深みが増すのではと思う。
◇ 祖父の尊厳死をかなえる方法として「被介護者の動きを奪う。」方式(あらゆる被介護者の行動を介護の名目でさせず、体力・気力を衰えさせる。)は正しいやり方である。
◇ 介護体験は少ないが、介護で大変なのは食事・入浴・排泄である。
特に排泄ができなくなると自分の尊厳が喪失されるらしく、当方の母の場合は、“人間失格である。子供になってしまった。”とよく言っていた。
小説の中では書かれていないので祖父の介護状態はそんなに悪くはないのかとも思う。
◇ 気になったフレーズ
・「昼も夜もベッドに横たわり、白い天井や壁を見ているだけで、良くなりはしない身体とともに耐え続けた先に死が待っているだけなら、早めに死にたくもなるのではないか。」
・「人間、骨折して身体を動かさなくなると、身体も頭もあっという間にダメになる。」
・「どのように死を迎えるべきかを自分で考えなければならなくなってしまった。ほとんどの人は昼も夜もない地獄の終わりをただじっと待つしかない。」
・「苦しんでいる老人に対し、“もっと生きて苦しめ”とうながすような体制派の言葉」
◎ 自分もこのような状況にならないためには“ぴんぴんころり”が理想となるのかとも思う。
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